「たいや」という言葉を耳にすることは近年では大分少なくなってきました。仏教において、たいやの「たい」という言葉は、漢字で「逮」と書きますが、その本来の意味は「及ぶ」ということです。ですから、「逮夜」は、「次の日に及ぶ一夜」のことで、葬儀の前夜、忌日の前夜、年忌日の前夜などを指します。また逮夜は造夜、大夜とも言われ、他に、宿夜、伴夜と呼ばれることもありました。
このことからも、かつては、逮夜という行事が葬儀において、どんなに重要視されていたかが分かりますね。この夜には、仏前に仏の位牌を飾り、僧侶を招いて読経し供養してもらい、死者の冥福を祈ります。そして集ってくれた人たちには心尽くしの食事や茶菓子を振る舞い、一晩語り明かして翌日を迎えます。たいやは、亡くなった日を含めて七日ごとに行なわれ、その最初の日を初七日、次から、二・七日、三・七日、四・七日、というように続きます。
ただ、一般的な習わしとしては、四十九日や一周忌などの供養の日の前夜や、命日の前夜などに法要を営みます。古くは、逮夜と忌日の両日に法要を営む風習がありましたが、現在では、どちらか都合のよい日を選んで法要を営むことが一般的です。また、家のいろいろな都合によって期日を早めることは構わないとされています。